ムーミン谷の彗星—トーベ・ヤンソン

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ある雨を境に、ムーミン谷を覆う世界がなんだかいやにどす黒くなってしまいました。地球を粉々にしてしまう危険な星、"彗星"が近づいてきたらしいのです! ムーミンとスニフはどうしたらいいのか答えを探しに旅に出ますが、旅の間も彗星はじわじわと近づいてきます・・・

心配するな、うまくいくよ。しかし、もうちょっと速く歩けよ。いまは、いそがしいんだから。

怖い! うららかなムーミン谷は、大雨を境に黒ずみ暗くなってしまう。大人も、もちろんこどもたちも、そして私も不安でソワソワする。冒険中もジワジワと彗星が近づいてきてハラハラ怖かった。なによりも驚いたのは、登場人物(?)たちがみんな「いやなやつ」であること。人の嫌がることを言ってみたり、嫉妬したり、偏屈だったりする。きっとそれがムーミンたちが、ともすれば人間よりも人間的であることの一番の鍵だ。話が脱線するが、私の愛する『男はつらいよ』はよく「良い人しか出てこない」と腐される。私はいちいち憤慨する。まず第一にそんなことないからだ、けど熱くなっちゃうから、今日は置いておく・・・。落語を"人間の業の肯定"だと言ったのは立川談志だけど、私は男はつらいよの世界もそれに等しいと思っている。そしてこのムーミン谷もそうだろうと思ったのだ。人間は完璧ではないことに、ワクワク楽しみながら気付かせるなんて・・・児童文学、いい(いまさら)。