蛇蝎のごとく—向田邦子

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堅物で通してきた修司が、部下の女子社員と一世一代の不倫を実行しようとしていたその日。娘が妻子ある男と同棲を始めようとしていた。相手の男は、修司と真逆の柔な男。蛇蝎のごとくいがみ合う二人だったが、徐々に共鳴していく。

理屈に合わないもんなんですよ。人間の気持ってやつはね。あっちも本当こっちも本当

向田さんの晩年の作品です。そう思って読むと、『阿修羅のごとく』『あ・うん』『冬の運動会』などの要素がいいとこ取り。ドラマ版では、修司が小林桂樹、修司の妻が加藤治子。娘の同棲相手(石沢)が津川雅彦。今ドラマ化するなら、なんて考えるのが楽しいけど、最近の俳優さんは年齢より若く見えて、堅物父さんができる人がなかなかいなくて、いつも行き詰まるのでした。向田さんの作品のおもしろさは、「人間はかくも可笑しい」と思える、動物園的おもしろさだと思います。